最近のバスケ指導や練習動画でよく耳にするようになった言葉――「ドロップ」。
「ドロップしてからドライブ!」
「まずはドロップポジションを取って!」
…こんな風に聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
でも、初心者にとっては「ドロップって何?」と、少しピンとこない言葉かもしれません。
でもこの「ドロップ」という構え方、実は初心者こそ最初に身につけたい“現代バスケの基礎”なのです。
「ドロップ」ってどういう意味?
英語の “drop” は「落とす」「下げる」という意味。
バスケットボールにおいては、体の重心をスッと下げて、動き出しの準備ができる姿勢をとることを「ドロップ」と呼びます。
昔のように「止まって構える」ではなく、
“動ける姿勢に移行するために体を落とす”=ドロップ。
イメージとしては、格闘技の選手やスプリンターが「さあ行くぞ」と構える姿に近い感覚です。
ドロップには3つの種類がある
実は、バスケで使われる「ドロップ」には大きく3つのタイプがあります。
| 種類 | 内容 | 主な場面 |
| 姿勢のドロップ | 動き出しの準備となる構え | すべてのプレーの基礎 |
| 動作としてのドロップ | 例:ドロップステップなど | ステップやフットワーク中 |
| 守備のドロップ | Drop coverage (ピックに対する守り) | ディフェンス戦術 |
今回はこの中でも、バスケの基本中の基本である「姿勢のドロップ」にフォーカスして、初心者でもすぐに実践できる構え方と練習法を紹介します!
姿勢のドロップには2種類ある
構え方としてのドロップには、状況によって使い分けられる2つの形があります。
| 種類 | 姿勢 | 主な用途 | 特徴 |
| オープンドロップ | 斜めに開いた ランジスタイル | ドライブや1on1 | 動き出しの速さ重視 |
| スクエアドロップ | 両足均等・ 体はリングに正対 | シュート、守備、 基本姿勢 | 安定性重視 |
この2つの違いを理解しておくと、動画やコーチの言葉がグッとわかりやすくなります。
【図解】オープンドロップとスクエアドロップの違い

このように、構えの角度・重心の位置・プレーの用途が異なります。
どちらも「正しい姿勢」ですが、場面によって使い分けることが重要です。
オープンドロップは“動き出し”の合図になる構え
オープンドロップは、バスケットボールにおけるあらゆるドリルや実戦の「動き出し」でよく使われます。
例えば――
- ドリブル1on1のスタート時
- スキルトレーニングでのリアクション練習
- パス&ゴーやドライブ動作の準備
- ピックアンドロールでドリブルをしながらディフェンダーの動きを読む時
これらの場面では、やや斜めのスタンスをとり、ランジのように前後に安定した構えを作ることで、重心(コア)をすばやく移動できる姿勢をつくることがポイントです。
オープンドロップは、「止まる」のではなく“動ける準備姿勢”として、試合でもトレーニングでも必須の構えとなっています。
スクエアドロップの練習方法(ステップアップ式)
スクエアドロップは、初心者にとって一番身につけやすく、バスケの基本となる構えです。
以下の3ステップで、誰でも体に染み込ませることができます!
STEP 1:跳ばずに構える(家でもできるベースづくり)
• 両腕を胸の前にセットして、足は肩幅に開いて立つ
• 口から息を軽く「フッ」と吐きながら
• 跳ばずに足をやや広げ、ヒップヒンジ(お尻を引く)で重心を落とす
• 同時に両腕を素早く下ろす

STEP 2:「トン・トン・パッ」のリズムで
• その場で軽くジャンプ2回(トン・トン)
• 2回目の着地と同時に、スクエアドロップ姿勢に入る(パッ!)
• 音でリズムを感じながら、反応速度と姿勢移行を自然に身につける

STEP 3:応用編(両腕を頭の上からスタート)
• 両腕を頭の上に伸ばした状態でスタート
• パッっと一気にスクエアドロップしながら上に伸ばしていた腕を振り下ろす
• 上から一気に“落とす”動作の反動を利用してジャンプ!

オープンドロップはスクエアドロップの“応用編”
オープンドロップ単体の練習よりも、まずはスクエアドロップを正しく身につけることが先決です。
スクエアドロップで正しい重心の落とし方・腕の動かし方・ヒップヒンジができるようになれば、そこから自然とオープンドロップに移行することができます。
オープンドロップの基本的な構えは、スクエアドロップと同じ要領で一気に姿勢を作ることから始まります。
違いは、足を「左右に開く」のではなく、前後斜めにサッと開くこと。このとき、足一足分ほど前後差をつけ、ランジのような体勢を取ります。
つまり、スクエアドロップの「重心の落とし方」+「斜めランジスタンス」を同時に作るのがポイントです。
この斜めスタンスからのコアシフト(重心移動)が、ドライブやフェイクの第一歩――すなわちドロップステップにスムーズにつながります。
私自身の経験でも、この動作を身につけてから、1on1の出だしが驚くほど滑らかになりました。
オープンドロップの練習の流れ
1.構えの準備:
足は肩幅でまっすぐ立ち、両腕は胸の前にセット。
2.動作の開始:
口から「フッ」と吐くタイミングで、左右の足を前後斜めにパッと開きながらランジのような姿勢をつくる(スクエアドロップの要領で、前後斜めに素早く開く)。
3.重心を意識:
ランジのような斜めスタンスで、前後どちらにも動ける中間的な重心(コア)を保つ。ドライブやフェイクに素早くつなげられるよう、片足に重心を乗せすぎないのがポイント。
4.左右を切り替えて繰り返す:
左足前・右足前の両方を練習。左右の足を入れ替えて交互に繰り返す。
5.発展:
慣れてきたら、オープンドロップの姿勢からそのままドライブモーションや1on1の動き出しへとつなげてみよう。

✅【補足】スクエア・オープンドロップは「アップの習慣」に!
スクエアドロップやオープンドロップの練習は、個人練習のウォーミングアップで行うのが効果的です。
以下を目安に、毎回のアップで軽く取り入れるだけでOK:
• スクエアドロップ:5回
• オープンドロップ(左右それぞれ):3回ずつ、合計6回
プレー前に姿勢づくりを意識することで、自然と重心移動や足の切り替えがスムーズになり、試合中の動き出しが軽くなってきます。
毎回少しずつでも繰り返すことで、「構え=ドロップ」が体にしみついていきます。
よくあるミスと改善ポイント
練習をしているうちに、ちょっとした誤解から固い動作になってしまうことがあります!
| よくある誤解 | 修正ポイント |
| 「構え=止まること」 | ドロップは“止まらず準備する”構え |
| 「スクエア=直立姿勢」 | ヒップヒンジ+胸を起こした姿勢が基本 |
| 腕や足の位置がぎこちない | リズム練習で自然なタイミングを習得 |
「体の重心をスッと下げて、動き出しの準備ができる姿勢をとる」の目的を忘れないようにして、リラックスして練習しよう!
「止まる構え」から「動くための構え」へ
バスケットボールの基本姿勢として「パワーポジション」「アスレチックスタンス」「トリプルスレッド」の指導を受けたことがある方も多いと思います。
これらはすべて、バスケットの中であらゆる方向に素早く動くための、大切な基本姿勢です。
しかし、「姿勢づくり=止まって形を作るもの」というイメージが強すぎると、次の動作にスムーズにつながらず、ぎこちない動きになってしまうことがあります。
これは特に、大人初心者や練習時間の限られたプレイヤーに多く見られる傾向です。
個人練習でも、姿勢確認だけで終わってしまうことがよくあります。
そこでぜひ身につけてほしいのが、「スクエアドロップ」と「オープンドロップ」です。
これらは、「動作の中で姿勢をつくる」ための感覚を育ててくれます。
特にスクエア/オープンドロップでは、床からの反発を受けて姿勢をつくることがポイント。
その反発を活かすことで、素早く動き出す力を得ることができます。
「静」の型を確認したら、必ず「動」のドロップ姿勢も練習メニューに組み込んでください!
まとめ:ドロップを知れば、プレーが変わる!
“動ける姿勢に移行するために体を落とす”=ドロップ。
✅ドロップは「構え」ではなく「動ける準備」
✅スクエアドロップとオープンドロップを知って、使い分けできれば初心者卒業も近い!
✅一番大切なのは、正確さよりも自然に動ける感覚を身につけること
ドライブや1on1、守備だけでなく、オフボール時の動きにも違いがでてきます!
ドロップを標準装備にして、キレのあるバスケットボールを楽しみましょう!
