「やっぱりバスケはシュートを打ち込まないと上達しないですよね」
大人初心者の方と練習について話しているとよく聞く言葉です。
否定はしませんが・・・ちょっと思い違いしているかもしれませんよ?
体育館で2時間の個人練習(自主練習)があったとしたら何を練習しますか?
実際に個人練習を行ったことがある方は何を練習しましたか?
ミドルまたは3ポイントシュートの練習だけになっていませんか?
個人練習は、自分の好きなように練習できる時間で縛りがなく楽しいですが、「自分がやりたい練習」に偏ってしまい「今の自分に必要な練習」が抜けてしまいがちです。
初心者の多くは「シュートが上達したい」という思いと「シュート上達=打ち込み」という思い込みで、個人練習でひたすらシュート練習だけを行う傾向があります。
他にも例えば「レッグスルーができるようになりたい」という場合も、始終レッグスルーだけの練習だけを行っていることもあります。
初心者の偏った練習は、それに時間を費やしたわりには思うほど早く上達しません。
個人練習に取り組む方ほど上達意欲が強いものの、個人練習の時間を上手く活用できていないことがあります。
では、初心者に必要な個人練習への取り組み方とはどのようなものでしょうか?
初心者の方の多くは、一度は初心者向けバスケ教室に参加したことがあると思います。
ヒントは参加したバスケ教室のプログラムにあります。
部活経験者のカムバックさんであれば、部活の練習プログラムを思い出してみてください。
「シュート上達=打ち込み」は事実だけど見逃している大切なこと
初心者の方と練習について話していると「やっぱりバスケはシュートを打ち込まないと上達しないですよね」という考えから、個人練習はシュート練習の時間になっている傾向があります。
それ自体は事実であり、私も常日頃からシュート練習の時間を増やしたいと思っていますが、「シュート上達=打ち込み」のイメージが強すぎる印象があります。
そのイメージはどこから来るのでしょうか?
シュート練習の取り組みイメージに影響を与えているもの
例えばスラムダンクの安西先生が主人公の桜木花道に課した夏合宿「シュート2万本」や、同じくスラムダンクの海南高校シューターである神宗一郎によるシュート練習シーンは印象深いストーリーの一節です。
NBAの偉人であるコービー・ブライアントの”練習が始まる3時間前にはコートに来てシューティングを行っていた”というような話しもあります。
動画でも様々な選手が、シュートを打ち込むシーンが取り上げられいます。
そういった話しや動画から「シュート上達=打ち込み」のイメージが強く印象に残っているようです。
実際はシュート練習だけではない
シュート練習にフォーカスが当たっているので印象が強く残るのは当たり前なのですが、ここで大切なことを見逃しているというか、忘れてしまうことがあります。
『等しく基礎練習にも時間を費やしている』という事です。
桜木花道も、物語の前編で徹底的に基礎練習を叩き込まれています。
神宗一郎は”練習が終わった後”に一人黙々とアウトサイドシュート練習を行ったとされています。
コービー・ブライアントはシュート以外のトレーニングも尋常なく行っていたと語られています。
シューティング動画で紹介されるトッププレーヤーは、別の動画で基礎練習への取り組みも紹介されているものです。
シュートは身体の連動性が必要となる動作です。シュートもキャッチやドリブルなど他の動作との連動が関わってきます。それらをこなすには基礎練習は外せないものなのです。
ドリブルスキル動画の盲点
シュートだけでなく、動画で紹介されている多くのドリブルスキル動画に関しても同じことが言えます。
スキルを紹介するYouTuberは、基礎をしっかり身につけた方々であり、基礎が身についている前提でのスキル紹介となります。
有名トレーナーによるスキル紹介も、スキルトレーニングはトレーニングの一部であり、全体を通じたトレーニングには様々な基礎練習が含まれいているものです。
初心者の個人練習に取り入れるべきトレーニング
ここまでの説明で、つまりは”基礎練習を取り入れたほうがよい”という事がわかるかと思います。
では、何をどのように取り入れた方がよいか考えてみましょう。
そもそも初心者の方は”何をどうやって練習したら良いのかわからない”が実情であり偏った練習に望まなくともなってしまうという実態があります。
ヒントはご自身で受けてきたトレーニングやバスケ教室のプログラムにあります。
練習プログラムの時間割を参考に、個人練習の時間割を組み立ててみましょう。
練習の時間割を考えてみよう
まずは「ありがちな初心者の個人練習時間割例(120分)」を見てみましょう。
初心者の方も参加する個人練習会や開放体育館でも練習の様子を見ていると、ほとんどがシュート練習で時間を占めています。
始めのストレッチもままならず、シュートを開始する方も少なくありません。
次に、初心者向けバスケ練習の時間割例(120分)を見てみましょう。
上記は例なので、実際にご自身が参加したことのある練習会のタイムスケジュールを振り返ってみてください。ただ、プログラムは似た内容や時間割ではないでしょうか。
取り入れるのは前半の基礎練習プログラム
初心者向けのバスケ練習会に参加すると、前半に以下に似たプログラムが含まれており、毎回実施されていると思います。
- ダイナミックストレッチ
- 体幹やバランス感覚を鍛えるためのトレーニング
- 姿勢作りのトレーニング
- ボールハンドリング練習
- ドリブル基礎練習
これらは大抵、一人でも行える内容がほとんどです(=個人練習でも行える)。
つまりは、初心者にとって共通する「今の自分に必要な練習」がここに集約されています。
毎回繰り返されるトレーニングは重要なメッセージ
練習会の前半に毎回繰り返される基礎トレーニングは「基礎練習による身体の土台作り」であり、それほど重要であるというコーチやトレーナーからのメッセージです。
コーチやトレーナーは「練習会に参加した時だけ取り組むのではなく、一人でバスケットの練習を行う時でもやって欲しい、やるべきものである」という気持ちを込めて伝えてくれています。
なぜならば、これら基礎練習を取り入れた方が、シュート、パス、ドリブル、ディフェンスなどすべてのバスケットボールの動作に良い影響を与え、怪我を予防しながら上達を加速化することを知っているからです。
「一人の時でもダイナミックストレッチまでやった方が良いの?」と思う方もいると思いますが、筋温を上げ怪我の防止となりつつ身体のパフォーマンスを引き出す効果がありますので、これだけで練習の質を上げることができます。
個人練習の時間割を見直してみよう
では次に個人練習を行う時に備え、具体的に個人練習の時間割を自分なりに見直してみましょう。
具体的な内容は、ご自身が参加したことのある練習会のトレーニングを思い出し、今回は大雑把に時間割を作っておきましょう!
まずは練習会の内容を思い出してみてください。
その中で、毎回行われるカテゴリーの練習内容を思い出して、ご自身の個人練習の時間割に入れるだけです。
どうでしょう?これだけで今までよりも、具体的な個人練習内容になりませんか?
完璧な時間割を目指す必要はない
時間割は繰り返していくことで上手に組み立てられるようになります。
それほど時間をかけず行えると思っていたトレーニングが意外に時間がかかった、逆に思ったより短時間で終えられる内容だった、ということもあります。
実践しながら時間割を調整できればOKですし、せっかくの個人練習なので時間に縛られすぎるのも窮屈になってしまいます。
大雑把でも良いので気軽に取り組んでみましょう!
照れ臭いなんて思わなくてOK
初心者の中には、見様見真似の基礎トレーニングをやっている自分の姿を想像すると恥ずかしい・・・と感じ、実践を躊躇している方もいるようです。
たしかに勇気が必要かもしれませんが・・・
周囲はそんなあなたの行動を感心して見ることはあっても、変な目で見ることはありません!
経験者の中には「こうしたほうが良い」と声をかけて教えてくれることもあります。
そんなアドバイスをもらえた場合はラッキーです!
コーチやトレーナーから教わったことを堂々と行ってください。
実は同じように実践したいと思っていても、躊躇して実践できない方が周囲にもいるかもしれません。
もしかすると・・・そんなあなたの様子を見て周囲の練習の仕方に変化が生じるかもしれません。
個人練習に時間割を取り入れたことで変わったこと
私自身、大雑把でも時間割を決めて取り組んだことで以下のような良い効果を感じています。
- 取り組む内容(目的・目標)を決めることで集中力アップ
- 時間を決めることで集中力アップ
- 時間割と取り組む内容を考えている時にトレーナーからの注意点を思いだし練習に反映できる
- ダイナミックストレッチから取り入れることで身体がしっかり稼働し練習の質が向上し練習中の疲労蓄積も緩和
- 基礎練習を行うことで、その日自分がやりたい練習の再現性が高まる
- 各動作における身体の連動性アップ
たまに基礎練習にのめり込んでしまい、時間を押してしまうことがあるので注意しましょう。
まとめ
蓋を開けてみれば「個人練習時にも練習会などでやっている基礎トレーニングを毎回取り入れましょう…」というシンプルな内容です。
初心者の方も含めて基礎トレーニングは経験済みだと思います。
そして基礎トレーニングは大切だということも知っていると思います。
しかしながら、個人練習では「自分がやりたい練習」に偏ってしまい「今の自分に必要な練習(基礎トレーニング)」を実践している方は意外と少ないです。
「基礎トレーニングはいつでもできる」という考えになりがちですが、「いつでもできる」ではなく「いつでも行う」に切り替えてみてはいかがでしょうか。
そのためにも個人練習時の時間割を大雑把でも作ってみましょう!
あとがき
経験者の個人練習を眺めていると、ほぼシューティングだったりします。
「なんだ、やっぱり打ち込みじゃないか」と思うかもしれませんが、基礎練習を重ねてきた経験者が行うシューティングは質が異なります。
初心者の方でも、シューティングを繰り返すことでももちろん上達はしますが、遠回りしているようで、基礎練習などを取り入れたほうが上達は早まります。
私自身も以前は個人練習となったら、ひたすらミドルか3ポイントシュートの練習か、動画で見たドリブルスキルを繰り返していましたが、いざ実戦になると個人練習の手ごたえをイマイチ得られずにいました。
自分の個人練習やチーム練習、スキル動画や本を見直して気づいたことは「”基礎練習は重要”って自分も思っていて、他からも言われているのに、いざ自分はあまり実践してないじゃん。経験者だから基礎はできているって思いこんでない?NBA選手だって日々基礎練習やっているのに?」ということ。
私の場合、基礎練習をしっかり行っていた中・高校は数十年前。現代バスケでは当時より密度も質も高い基礎練習やトレーニングが行われ、その土台があってできる現代バスケのスキルだったりするのです。
そこで個人練習の機会があれば、練習の内容と時間の使い方を見直し取り組むようにしました。そうしたところ、自分の思うような動作ができるようになったり、体つきも変わり体幹も以前より強くなりました。
初心者・・・とりわけ大人初心者はバスケができる時間が限られるだけに、シュートをいっぱい打ちたいと思いますが、最初の20分程度でもよいので基礎練習やトレーニングを取り入れた方が色んな意味で伸びます。
ちょっとの工夫で楽しく自分の成長を楽しめる練習方法なのでお試しあれ!